満9ヶ月を過ぎて

九大演習林にて

陽は満9ヶ月を過ぎて、ようやく歯が生え、はいはいもずいぶん上手になり(つまりは、要監視となったわけだ)、ベッドから自分で安全に降りる方法もマスターし、つかまり立ちしたまま音楽に合わせてダンスの様なものをするようになり、離乳食も3回食へ突入した。
多分、こうしたことを人ごとでたまに見聞きするのだったら「子供の成長ってあっという間やなあ」と感じると思うのだが、自分の身近で起っているそれは決して「あっという間」ではなく、少しずつ、でも着実に前に進んでいるわけで、本当にありきたりでべたな感想ではあるのだが、子育てと言うのは相当におもしろい作業だと思う。
私はこれまでの人生で、自分のやりたいことをやりたいようにやってきて、自分の好きな事をやる自分の時間と言うのを大切に思ってきたので、子供がいると自分のことが何もできなくなる、と言う事にフラストレーションを感じるのではないかと不安に思っていたのだが、意外にも全くそう言う事はない、いや、ほんと、驚く程。
マア、昼間仕事で家に居ないからと言うのもあるのだと思うのだが、退社してからや週末に泳ぎに行きたいとか、映画を観に行きたいといか、買い物に行きたいとか思うことはなく、ただただ、今はとにかく陽と一緒に居たいと思う。
多分、そういうものなのだ。子供がいない時は、なんとなく、子育てと言うのは自分の人生にある程度犠牲を強いるものだと考えていたのだが、実際はそうでなはく、今、この時間に自分が一番やりたいことが子育てになってしまった。ただ、子供は段階をおって親から離れていくものなのだし、私もきっと段階をおって子から離れていき、そうしてまた自分のための人生に戻っていくのだろうとは思う。
その様に子育てを楽しんでいるわけだが「二人目が欲しいか」と聞かれると、今のところ「欲しく無い」と言うのが正直な気持ちである。理由のひとつは出産したく無いのではなく(どうせ帝王切開だから痛く無いし)もう一度あのしんどい妊婦生活を送りたくないということがある。いや、もう、私にとって出産や子育てより妊婦で居る事が正直一番辛かったのだ。そして、もうひとつの理由は、さらに愛情を注がなければいけない対象を増やすのがしんどいからということ。私の愛情は豆と陽ふたりでいっぱいいっぱいなのだ。(当然のことながら、必然的にモリ君への愛情比率はかなり低下しており、本人にもよく指摘される)