晴れ

お母さんが来て4日目。
まあなんとかやっている。私も我慢しているけど、多分、お母さんも外国人嫁が嫁としてあるまじき態度であるのを我慢、と言うか寛容に受け入れてくれているので五分五分かと思われる。
お母さんと私の似ているところはきれい好きであること、それからじっとしていられない質であること。モリ君と全く逆なのだ。「お客さんなんやからゆっくりして」と言っても全く聞き入れてくれず、こまめに拭き掃除やらなんやらやってくれて非常にありがたい。洗濯に関しては、恐らく、その他中国人の方同様「洗濯機に入れといてくれていいから」と言っても聞き入れず、毎晩せっせと手洗いしている。(ハッと気づくと、私のスニーカーも洗う気満々で準備してあったので慌てて断った)
一番困るのは、料理に関してであった。もともとモリ君から「うちは父親が料理上手やし、母親はあまり作らない。上手ではない」と聞いていた。確かに以前お父さんの手料理は食べたことがあるが、お母さんが作っているイメージは無い。今回お母さんは田舎から出てくる際、張り切って沢山の食料を持ってきており(持ってくるなと事前に言ってたけど無理だった、やはり)料理する気満々なのである。一昨晩、お母さんの料理「鶏とキノコの煮物」が食卓に並んだ。調理の際あまり見張っていなかったからどれだけ油を使ったのかわからないが、とてつもなくぎとぎとな感じ。そして味は…味が無い、お母さん調味料入れた?油っぽくて、超薄味、うーむ、一言で言えば不味い。これはお世辞にも「美味しい」とは言えず、私は率直に「薄味やね」と言っておいた。
昨晩も料理する気満々で材料を準備していたので、慌てて「今日は私が作るよ」と言ってなんとか逃れた。
そして今日、今日は旧暦の大晦日なので、早めに夕食を取って、夜餃子を作り、年越し餃子を食べる。今日もお母さんは料理をする気満々。メニューは中国人が大好きなスペアリブの煮物と、東北風野菜の和え物。この2つはモリ君も良く作るので私も大体作り方はわかる。お母さんが作る横で手伝う振りをしながら、料理が不味くならないように見張っていることにした。
まずは餃子の餡を先に作っておくことになった。豚肉を挽くのにフードプロセッサーを使ったのでお母さんはちょっとひくかなー、と思っていたがかなり興奮気味で「何、これ!ものすごく便利」おや、予想外の反応、と思い「野菜も切ることできるけど、野菜は手で切ったほうが良いよね?」と聞いてみると「何言ってるの、全部これで切りましょう、いやー便利。これいくら?ちょっと高いね。国産のだと安いのある?」と大うけ。さて、味付けをする際だが、中国式の餡には油を入れる。この油はまず先に熱するのだが、お母さんがフライパンにドドドーっと入れる油の量が半端ではないので思わず絶叫してしまった「お、お母さん、多すぎ!」「油が少ないと美味しくないのよ」とのたまう。…にしても限度があるやろ。このような状況で、多分、いや絶対、嫁は従うべきなのだろうが、初めが肝心と思い、私は「お母さん、油の摂り過ぎはほんまに体に良くないんよ、しかも中国の油は悪いのが多いからね、日本人が長寿なのは食生活が云々・・」とがんばって主張したのだが、当然あまり納得していないようだった。とはいえ私は外国人嫁、納得しないまでも半分位は妥協してくれたようだ。
同様のことが別の料理を作る際も発生しそうになったが、私は断固として、油少な目を主張。スペアリブの煮物に関しては、お母さんが目を話した隙に酒やみりんをぶち込んで調味(お母さん、醤油と塩しか入れないから…)…はー、疲れる。ただ、お母さんのいいところは、生意気な嫁が何を言おうと、あまり気にせずからっとしているところ。こうして言いたいことを言い合っているので良いのかな。いろいろ大変ではあるが、これも親孝行だと思ってがんばるしかない。