晴れ

結婚式前

大連にて結婚式。
私は一足先にでて化粧と髪のセットをしに行き、モリ君は手伝ってくれる友達と共に荷物を持ってホテルへ向かう。
結婚式と言っても親戚関係は一人も来ないし、まあ簡単な披露宴なのだ。衣装も、もともとウエディングドレスともう一着赤いゴージャスなカクテルドレス(ベルバラ調)を借りていたのだが、家に帰ってもう一度着てみたらなんだかえらく仰々しく感じたので、やっぱりベルバラドレスは着ず、ウエディングドレス以外には日本でも来たチャイナドレス風の服を着ることにした。
11時前にホテルに到着。会場の準備はほぼ終えているようだった。ばたばたと流すCDを確認して、すぐにドレスに着替える。開始は12時なので、11時くらいからぼちぼち早いお客さんが到着し始めた。
中国式の結婚式だと、新郎新婦及びその家族はリムジンで乗りつけ、ホテル入り口で皆が華々しく迎える、というものらしい。私達はそれはないため、お客さんには直接会場まで来てもらい、入り口に立って迎えることにした。12時過ぎお客さんがほぼ揃ったので式を始めることにする。周囲の軽いブーイングを無視し、どうせ正式な結婚式じゃないんだし、と言うことで入場は結婚行進曲を流さず私の好きな曲にしてもらったのだが、音楽と入場のタイミングを事前に合わせていなかったので、ものすごく中途半端なところでぶちっと切られてしまう。
入場後、司会の万三君より簡単に紹介。その後、うちの会社の総経理とモリ君の会社のフジイさんからスピーチをしてもらい、ケーキカット、シャンパンタワー、誓いの言葉と簡単な儀式を30分ほど行う。最後にモリ君より皆にお礼の挨拶をして、私達は一時退場・・・と言うことだったのに、万三君から「じゃあ、新婦も一言」と突然振られてしまった。ただでさえ緊張しいなのに、なんの準備もなく喋らされたので、当然相当たどたどしいスピーチになってしまった。(後から万三君に「ハサク、声裏返ってたで」と言われる、お前のせいじゃ!)
皆が食事をしている間、新婦は服を着替え(新郎は最初から最後までフツウのスーツ)敬酒(全てのお客さんにお酌)を開始する。お客さんの多い結婚式だと敬酒だけでずいぶん時間がかかると思うのだが、私達は60人ほどなので、あっという間に終わった。それから記念撮影、1時間半位経つとお客さんがぼちぼち自然解散を始めるので、新郎新婦はその都度お見送り。2時間半くらいでほとんどのお客さんが帰り、手伝ってくれる友達10数人ほどだけ残り、ここで私達もようやく少しご飯を食べることが出来た。
まあ、とりあえず特に大きな問題はなく終えることが出来、ほっとした。後悔したことは、音楽に関してで、せっかく自分でCDを作って準備していたのに、時間がなくて担当の人ときっちり打ち合わせすることが出来ず、ちょっとちぐはぐになってしまったこと。それでも、私はノーザンを聞きながら敬酒をすることが出来、とても幸せであった。(自己満足)それから、ビデオを撮らなかったこと、最初から最後までつききりで写真を撮ってもらう人を手配しなかったこともちょっと後悔している。
音楽のこと以外に、私が今回の結婚式のためにちょっとがんばったのは招待状と自己紹介カードを作ること。これのためにコバヤシさんにデザインしてもらって、プリンタまで買って、家内製工業でせっせと準備し、帰国前の忙しい時期結構大変だったが、とても楽しかった。どちらも絶対いるものではなかったんだけどね。
夜は手伝ってくれた友達と食事をして、9時過ぎ、ぐてぐてに疲れてようやく帰宅。
実を言えば、もともと大連で結婚式をするのには私もモリ君も乗り気ではなかった。こちらでは「結婚式=お金集め」と言う考えもあり、どうせ私達は日本とモリ君の実家で結婚式をしなきゃいけないんだから、大連ですると、お金集めのためのように誤解されるんじゃないか、と言う心配があったのだ。でも、友達の勧めもあって、簡単な披露宴だけでもやろうか、と言うことになったのだが、結局やるんだったら会社の人も呼ばなきゃいけない、それだったら、いくら簡単にと言っても、ちゃんとしたホテルを借りて、司会も準備しなければならない、とどんどん仰々しくなっていった。うちの会社は習慣的に、社員の結婚式には事務所の人皆に声をかけることになっている。日本だったら、同じ部門や直属の上司だけ数人呼べばいいのに、面倒なことといったらない。実際、それ程親しくもないのに声をかけたら、ますますお金集めのためみたいではないか。かと言って声をかけないわけにはいかないし、声をかけ、でも結局半数以上は来ないことがわかって、そうなるとやはり私もそれなりに傷ついた。ああ、うちの社員の人たちはやっぱり私を同僚として受け入れていないんだ、そして、私がお金集めの為に結婚式をすると思ったのかもしれないなあ、と思うと憂鬱になって、式をやることにしたことを後悔して何度も泣いた。
モリ君は気にするなと言う、本当に自分たちと親しい、心からお祝いしてくれる人たちが来てくれればそれでいいじゃないか、と言う。そりゃそうだ、私もそう思う、無理に来てもらわなくてもいい。でも、今回のことで自分の存在がより鮮明に否定された気がして、ますます会社を辞めたくなった。うちの会社にはヒエラルキーがある、決して表面化はしないが、事務所内部は内部でお局を中心に職歴の長い人が新人を排除する雰囲気があり、さらに事務所の人は自分達を一段高いところに置き、品管を下位層とみなしているのだ。そして私はただ一人の現地採用日本人で別格。いじめられたりするわけではないが、どんなに友好的に接しても結局同僚として受け入れてもらえはしない。そうした状態に精神的に耐えられなくて辞めたいと言う気持ちはもうずっとあるのだが、私が辞めると工場長が困ると思って、強い慰留を飲んでなんとか踏ん張ってきた。でも、私は結局会社の駒にすぎないのだ。ただ、利用価値があるから大切にされているような気がするだけのこと。
私は多分働くことは好きで、出来たら、一生働きたいと思っている。仕事をする上で人間関係はものすごく重要、と聞いていたが、これまでの職場はとりあえず人間関係には恵まれていたようで、こうしたことが原因で辞めたいなどと思ったことはない。でも、短い人生、いろんなことを我慢して生きていくなんてあほらしい。と言うことで、今すぐに辞めることはないが、もう少し今の会社を私が利用して勉強した後とっとと辞めるつもり。そういう風に割り切ってしまうと、気分がちょっとラクになった。
本当は結婚式の内容だけ書くつもりだったのが、会社の愚痴になってしまった。とりあえず、いろいろ葛藤はあったものの、最終的な感想としては、結婚式をやって良かった!忙しい中集まってくれた友達、手伝ってくれた友達には本当に感謝。ありがとう。