晴れ

大連は3日ぶりの良いお天気になった。週末が良いお天気だとやはりうれしいものだ。
なにやらいつの間にか8月に入っているではないか。7月は出張続きで、月の半分程は大連から離れていたのだが、先週末位からようやく一息つき、9月末の帰国に向けてぼちぼち準備でも始めようかねー、と思っていたところまた厄介ごとが舞い込んできて、憂鬱な1週間をすごした。
厄介ごと、というのはもうじき期限が来る私の就業ビザの更新のことである。今のビザは8月17日できれるため、担当の王さんに聞くと、手続きは3日程でできるので焦らなくても大丈夫、と言われた。ただ、8月の半ばにまた出張があるため、パスポートが必要となる。早めにやって貰っといた方が安心やと思い、王さんにパスポート・外国人就労書・写真を渡したところ「宿泊登記の青い紙も持ってきて」と言われた。えっ、私の宿泊登記の紙って昔の小さい奴やけどいい?と聞くと「今は厳しいからだめ、あの青い紙がいる」と言うではないか!がーん。
宿泊登記、と言うのは、中国に住む外国人が居住登録をする、と言うもので、フツウ引越した際、大家さんと一緒に住居の管轄の派出所に登録しに行く。これは居留許可書のように厳密でややこしいものではなく、私自身現在の家に引っ越して来た際(1年半前)忙しい大家さんは一緒に行ってくれず、一人で登録しに行ったが何の問題もなかった。で、原則的にこの宿泊登記は入境ごと(つまり一時帰国や旅行で中国を出てまた戻ってくるごと)にやらないといけない、のだが、昨年の夏一時帰国した際、私は特に深く考えず登記に行かなかった。と言うのも、この登記の紙をこれまで一度も利用したことなく、実際、昨年夏就労ビザを取る時にも使わなかったし、まあ、行かなくてもたいしたことではなかろう、と思っていたのだ。事実、昨年はこれでもたいしたことではなかったはずなのだ。しかし、オリンピックを前にした現在中国の外国人入境は日々厳しくなっており、現在は旅行者でさえ入境後24時間以内の宿泊登記が必要となっている。しかも登記が1日遅れるごとに500元の罰金と言う。(工場長談)
えっ、私、7月17日に入境して、もう10日以上経ってるやん、罰金5000元(7万円強)以上ってことー!!
とは言え、ここは中国なのだ、原則と実際が一致するとは限らないのだ。会社の皆からも「もし担当者が男やったら、にっこり笑ってごめんなさいと言えば大丈夫」「とにかく、大連に帰ってきてからすぐ山東に出張に行って昨日帰ってきたと言え」などアドバイス(?)され、翌日怯えながら管轄の派出所に行った。とにかく罰金と言われたら平謝りや、と意気込んで行ったのだが、私の持ってきた以前の宿泊登記の紙を見た瞬間「これ以前のやん、これやったらあかん、大家さんと五一広場で手続きしてまた出直しといで」と、パスポートの入境日を確認する間もなく追い返されてしまった。
大家さんと一緒に登録に行く、と言うことで私にとっては、罰金云々より更に面倒なことになってしまった。と言うのは、私は不動産屋を通さず個人の大家さんと契約をしており、この大家さんはものすごく忙しい人で、しょっちゅう出張で大連を離れて連絡が取れなくなるため、普段はこちらから連絡を取ることをほとんどあきらめているのだ。不満はあるが、家賃は安いし、変にうるさい大家よりましか、と思っていたのだが、今回はこれが大いにネックになってしまった。電話をかけてもメールをしても返答なし。おそらく外地に居て、大連の携帯のカードは使っていないようなのだ。このままではビザの更新の期日が切れてしまう、どうしよう、引越しして新しい大家と登録に行くしかないのか、と悩みに悩んで、最終的にどうしても大家に連絡がつかなかったら、大連に住むモリ君の親戚に頼んで彼の家を借りていることにして、宿泊登記をしよう、と言うことに決まった。決まった、と言っても、私自身この方法は嘘をつくことになるし、何か厄介な問題になったらと思うと怖いので、しぶしぶ、と言わざるを得ない。しかし、これは最終手段であり、とにかくもう一度だけ派出所に行って事情を説明し、相談をすることにした。
多分、こういう時、中国では多くの人が「袖の下」を通すのであろう。が、私は(モリ君も)そのやり方はよくわからないし、へたな小細工はせず、正直に行くことにした。まあ、多分あかんやろうなあ、と期待はせずでも必死で、担当の女性に対して、どうしても大家と連絡が取れないこと、もうすぐビザの更新なのでどうしても宿泊登記の紙が必要なことを伝えた。
今回はうまく言えなかった時のために、とモリ君もついて来てくれていたのだが、彼は、私が警察と必死に話している横で、何も言わずボーっと立って居た為、もう一人の警察は彼を外国人(しかもなぜか韓国人)と思い「あなたは○○小区(私の住んでいる地区)って知ってるの」と質問した。それに対して「どういう意味?(何でそんな知ってて当たり前のことをわざわざ聞くんや、何か別の意味があって聞いているのか?)」と答えたことで、警察はますます彼は全然聞き取れていないものと思いこみ、しばらくちぐはぐの会話を続けた後、やっとモリ君が中国人であることが判明して皆で大笑いする、という一幕となった。そして、なんと、そこで一気に場の雰囲気が和やかになり、担当の女性も「しょうがないわねえ」という感じで、宿泊登記をしてくれたのであった!
という訳で、何とか来週にはビザの更新をすることができることになった。(モリ君のすっとぼけもたまには役に立つ)