丁未/晴れ

午前中のうちに、買い物を済ませておく。歩いてカルフールまで行き、CD-R(5枚8元)と安売りのヨーグルト(8個5.5元)と冷凍水餃子700g(5.5元)を買う。その後市場へ行き、いつも(と言ってもまだ2回しか言った事が無い)の卵屋さんに行くと、「また来たね」と言われたので「覚えててくれたの!」と喜ぶと「覚えてるよ。もう、すっかり中国人と変わらないじゃない」とうれしいことを言ってくれる。明らかにお世辞と知りながら悪い気はしないので、これからここを卵のひいき店に決めた。ひいきと言っても、いつも4個ずつしか買わないけちな客なのだが。
午後アサちゃんの部屋で、中国人学生の王ちゃん、爽ちゃんと話す。出身地や中国で行ってみたい場所の話になった時、王ちゃんが「台湾省」とフツウに口にするのを聞いて内心驚いてしまった。そうなのだ、ここでは台湾は当然「台湾省」なのだ。
生活をしていて「中国的だな」と思うことは日常茶飯時である。それは初めて知ったことを驚くと言うより、これまで情報として知っていたことを実体験し、やはりそうか、と思うことがほとんどだ。実際に見たり聞いたり体験したりすることが、そのことの一面においてであるとすれば、あらゆる角度から見た情報の総合の方が確かな場合もある。私がここで見聞きしたことは、一個人についてもしくは大連と言う狭い地域に限定されるものかもしれず、それを持って中国や中国人を定義できないのは当然のことだ。ことが複雑になればなるほど、目に見えるものだけで判断するのは危険だろう。しかしもちろん、百聞は一見に如かず、と言うのもまた真であると思うのだ。而して、情報に実体験が加わることでリアリティが生まれ、同じ言葉を吐くにしてもそこに強さ(または説得力)が生まれる。
と言う考えを、「台湾省」と聞いた刹那巡らせたわけではないのだが、この驚きは私に、中国の台湾問題を今ある事実として強く実感させたのであった。こういうおもしろさが、外国に暮らす醍醐味なのかもしれない。