癸丑/晴れ

シュエフォンが「今日は僕の恋愛物語を話す」と言って、ジャンファンと同じくほぼ1時間かけて話してくれた。と言っても、ジャンファンは全て中国語で、シュエフォンは日本語でたどたどしくではあるのだが。
「僕は10歳くらいの時、初めて李氷に出会った。その時、僕は3人の男の子と喧嘩していて、それを1人の女の子がじっと見ていて、むかついた僕は靴を投げつけてしまった。するとその女の子が倒れてしまい、怖くなって僕は慌てて家に帰って行った。次の日学校に転校生が来た。それが実は李氷で、しかも僕の家の隣に引っ越して来たことがわかった。なんと李氷は目が見えないと言う。しかも両親を亡くしており、今は踊り子をやっているおばあさんと2人で暮らしていた。その後僕は目が見えない李氷に付き添って毎日通学しているうちに李氷のことを好きになり、李氷も僕のことを好きになった。月日が経って2人は18歳になったが、両親は李氷とつきあうことを許してくれない。そんな時、あるアメリカ人が踊り子のおばあさんを見初め、おばあさんは李氷の目を治してくれると言うので、アメリカに行くことを承知する。アメリカに行ってからも、李氷は僕に声を吹き込んだテープを度々送ってくれていた。そんな中僕は大学に行く為にガソリンスタンドでバイトを始め、そこであるお金持ちの男の子と知り合い友達になった。その後、その友達はアメリカに渡り、バーで歌を歌っていた李氷と出会い、彼の助けで目が見える様になった後、2人は中国に戻って来た。そういうことを全く知らないまま友達から李氷を紹介された時、僕は驚いて呆然とした。でも李氷は僕の顔を知らないので全く気がつかない。僕はずっと黙っていた・・・」
「そ、それでどうなったん」「もうこれ以上作れないな」・・・・・作れない?作れないって、えっ、ままさか、この話全部作り話やったん!!!
後から冷静に考えてみれば、と言うか冷静に考えなくても全てあり得ないやろ!と言う話なのに、私は本当に最後まで信じていたのだった。ああそうか、シュエフォンは本当に純粋やな、としみじみ感動していただけに、私はショックでしばらく口もきけなかった。いや、何がショックって自分のアホさ加減なんだけど。
これは、シュエフォンの好きな韓国ドラマのあらすじだったらしい。