庚寅/晴れ

6時起床、雨は上がっている。いつものコースをジョギング30分(Paul Wall「Peple's Champ」)数日ぶりとなるので非常に気持ちが良い。午前中、ヒロコさんの引っ越しを行う。とりあえずの荷物としてパソコンと数日分の洋服だけを車で運び、1時間以上かかってなんとかインターネットの接続を済ませる。取説をきっちり読んでその通りにすればすんなりいく、と何度も経験してわかっているのにやっぱり「ざっと読んで、多分こうだろうとやってみてうまくいかない」と言うのをやってしまうのだ。
午後、オガワ夫妻とミナミのKPOキリンプラザ大阪で開催されている「榎忠展/その男榎忠」を観に行く。榎忠は、60〜70年代にハプニングで活躍したアーティストである、と言うのをもちろん私は今日初めて知った。初っぱなに「半刈りでハンガリーに行く」を観てその奇抜さに目を奪われる。が、その様なハプニング(ローズバーだとかエキスポマーク日焼けだとか)に対してではなく、ビデオ中で自分のアーティスト活動について衒い無く語る姿に、非常に魅力を感じた。榎忠はアーティストであり、(ウスイさん的に)つくりつくり人であり、いっぱしの職人なのだ。こうして、無知な自分の引き出しに新しいものが増えていくのは喜ばしい事である。
晩、安田生命ビル30Fモード・ディ・ポンデベッキオへ行き、送別の宴と言う事でお二人に御馳走していただいた。モードはずっと行きたかった店なので非常にうれしい。そして期待通り、また必ず行きたいと思える店だった。それなりに贅沢ではあるのだけど。
これはきっと必要事項なのだ、記憶の定かなうちに(と言いつつすでに不確か)記しておくべきだろう。おまかせのコースは、豆と海老のスープ、ジャガイモとキャビアのティンバロ(?)、牡蠣と菊菜のアラビアータ、ほろほろ鳥のラビオリ、鴨とフォアグラのローストブロッコリとカリフラワーの掛け合わせ添え、グレープフルーツのシャーベット、チョコレートのスフレとチーズのムース。私は決して舌が肥えている人間ではないのだが、野菜にしても肉にしても良いものを使っていること、その元々の味が素直に出て来る様に料理されていることがありありとわかる。スープは春の味がする。ティンバロ(?)はジャガイモの歯ごたえを残しつつふわっとした食感の中にチーズのクリーミーさとキャビアの塩味と歯ごたえが素晴らしいハーモニーを作り出す。アラビアータの強さの中に、牡蠣と菊菜がそれぞれ自己主張しながらも分を出ない。ラビオリにはパルメザンをたっぷりかけて。野鴨をかけあわせた鴨は歯ごたえを残し、あくまでもとろとろのフォアグラをさらに引き立たせる。シャーベットでさっぱりして、デザートもボリュームがあり全く気を抜けない。ワインはカルフォルニアの赤。(名前は失念。ラベルに大きくK、砂糖漬けのすみれの香り)幸せと完全な満足を作り出すものはどこにでもあるわけではない。
阪急電車の最終に(文字通り)飛び乗って河原町へ戻り、コウタロ君常連のダーツバーSOULSへ行く。(そしてやはりコウタロ君は居た)久しぶりにダーツをやってお開きは3時過ぎ、会ってからほぼ12時間遊び、話し倒したわけだ。
今日はヒロコさんからと、オガワ夫妻からお餞別に本を戴いた。私が最も欲するものを知っている人達なのだ。そうしてきちんと出発前らしくテンションは高められて行く。