己丑/晴れ

昼はうなぎだった

待ちに待った花見へ行く。学校からバスに乗って40分程の旅順にある龍王塘水庫に名所があり、桜の季節だけ3週間程開放される。龍王塘水庫(ダム)は大正時代、日本統治下で作られたものらしく、日本人の名前が記されてあった。旅順と言えば当然日露戦争の激戦地跡と言う事が思い浮かぶのだが、現在は近くに軍港がある為、203高地だとか水師営会見所等のエリアを勝手にふらふらしていると拘束される恐れもあるらしい。実際に観光する場合には、旅行会社で手配して行くしか無く、非常に面倒なのだ。とは言え、丹東(北朝鮮との国境)と共に、ここに住んでいる間に必ず一度は訪れたい場所ではある。
今日はそうした観光はなく、単純にお花見のみである。中国はこの週末から連休に入っている上お天気も良く、丁度満開の今日が一番の人出だったに違いない。たくさんの屋台が出ているのは日本と同じだが、桜の下にシートをひいて腰を落ち着け宴会をするような人達は少ない。桜があろうと無かろうととにかく皆大いに食べ、バドミントンやトランプを楽しみ、ピクニックを満喫している。そうなのだ、これは以前北京を旅行した時様々な観光地でも感じたことなのだが、お花見や参観は中国人にとって貴重なアウトドアレジャーのひとつに違いない。花を愛でる事、名所旧跡を興味深く参観することは二の次で、それを口実にレジャーが出来れば良いのである。まあ、日本のお花見だってそれに近い人はわんさといるわけなのだが。
桜の下で日本食の弁当を食べ、のんびり過ごし、それなりに満喫できた。が、実はなんとなく違和感を感じてしまうのは否めなかった。ここで見る桜は、やっぱり中国の桜だナアと思うのだ。植物学的にはちゃんとソメイヨシノであるわけだが、日本で見るソメイヨシノとはどこか決定的に違う。日本の桜が個人の家にしろ、八坂さんにしろそれぞれの場所にしっくり馴染んでいるのに対して、ここの桜の木はこの場所にぴったり馴染んでいるようには感じられないのだ。私の色眼鏡かもしれないのだけど。
なにはともあれ桜なのだ、待ちに待った桜なのだ。これでようやく春が始まった、そして久々に十分過ぎる程の日光を浴びたため、徒歩大会以上に疲れ果ててしまったのであった。