甲子/立春

実験初日、途中で一度声が嗄れて咳き込む。
1週間前から不安と憂鬱を抱えて今日を迎えたわけだが、なかなか受けはよく安心した。元々毛糸染色は、私が分析のおもしろさを知ったきっかけともなった実験であり、そのさわりだけとは言え、こうして最後の担当プログラムに組み入れることが出来たのはなかなか嬉しいことだ。
私が居る場所で作り上げる実験教室は、安全で派手でわかりやすくおもしろくあるべきものだということはわかっている。が、私は私がこれまでに化学実験で感じて来たおもしろさを伝えたいと言う気持ちもあり、その兼ね合いを見つけながらなんだかんだやってきた。子供に見せることができる化学実験なんて、たいてい、色が変わったり消えたりそういうものなのだ。それが本当の意味でおもしろいと感じるようになるのは、色が変わったり消えたりすると言う現象に対してではなく、なぜそうなったのかと言う理由とつながる時なのだと思う、多分。(ああ、でもその「おもしろみ」と言うのは「知りたい」と思ったことを満たさずにはいられない私の性分によるものかもしれないのだけど。)
後、1ヶ月も無いので、なんとなくつらつらと自分の仕事を振り返る。
そして、そうだ、今日はコバヤシさんと帰る最後の日だったのだ。
吉川英治「新平家物語15」読中。
WAVEティラミス。